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ケンあや通信

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9年生 番外編

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9年生諸君が綾へ来た9月9日の朝は、我が家の三男は四日間の謎の高熱がようやく下がり寝ておりました。郷田美紀子さんに頂いた薬のお蔭で命拾いしたのかも知れません。そして段々と元気になり、9年生たちと一緒にまな板に向かうのでした。三男はツツガムシ病を疑われたのですが、血液検査の結果、原因不明のままです。さて、今回は番外編ということで、ご紹介出来なかった写真をアップしたいと思います。















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田淵さんのお見舞いに来られた鳥山先生は、郷田さんの自宅を訪ねられました。夭折した長男・タケルさんに御焼香して、郷田實氏の奥様・ちささん(89歳)と暫しお話をしていました。ちささんは、まだまだ矍鑠(かくしゃく)とされています。















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早川農苑さんにて、タカヒロさん、ユミコさん、ユウホさんが、袋詰めの作業をしていました。早川農苑さんは、有機農法です。農薬、除草剤、化学肥料などは一切使用していません。従業員の方も多く、宮崎市内のスーパーにも元気野菜を卸しています。















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デリックさん、アキホさん、カズノリさんが、山口農園さんと最後にお別れの握手をしていました。山口農園さんは、自然栽培農法です。農薬、除草剤、化学肥料などは一切使用せず、堆肥も投入しません。全国から学びに来る人がいます。椎茸の菌床を畑に活用しています。















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農業実習最終日のナオキさんは、ハードな作業をしていました。炭素循環農法のための穴掘りです。暁農園さん(酒井さん)ご家族と、チカさん、ナオキさんでお別れのとき記念撮影をしました。暁農園さんは、自然栽培農法です。樹木の炭素を活用しています。















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郷田農園さんにて、ハヤタカさん、モモカさん、メイさんが、伸び放題だった雑草の草を刈り、畝づくりをしていました。郷田農園さんは、自然農法です。指導されたのは、ここ実践場の講師・北城さんです。綾いのち塾をされています。郷田五男さんも、手伝って下さいました。自然農法は、耕さない不耕起栽培です。種蒔きの時、油粕と米糠を少しだけ撒きますが、農薬、除草剤、肥料などは使用しません。















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草ぼうぼうだった畑が、3週間でここまでになりました。大根も玉ねぎもカブも芽を出しすくすく育っていました。ここ綾自然農生活実践場は、自然農法を学ぶところです。実習生はただいま募集中です。今月、東京から実習生希望者が見学に来る予定です。土が健康であれば、自然界と対話しながら、立派な作物を育てることが出来ます。川口由一先生の赤目塾(奈良)ホームページ(気楽に自然農)でもリンクさせて頂いています。















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9月27日、お礼の会のためのヴァイオリン練習風景は、西日を受けてよい雰囲気でした。芸術と農業の融合、生活を明るく生き生きとさせるスタイル、宮沢賢治ワールドのヴィジョンは農業と芸術がキーワードです。















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9月28日、お別れの朝、9年生全員で歌を歌われました。世界にひとつだけの花……個々の可能性、個々の天の才が花開きますように……大地と空に爽やかに響く歌声でした。感謝!















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お別れの日、バス会社と交渉して青島経由で空港へ行くことになりました。雅代先生が、出来たら宮崎の海を見せたい!と熱く言われたからでした。青島は亜熱帯植物が自生しています。青島神社を参詣しました。















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青島神社の本宮は亜熱帯の雰囲気満載です。日本は北から南まで、豊かな自然に恵まれた国です。美しい自然を、ずっと先の世代まで残したいと祈りました。残せるだけのライフスタイルを築くのがこれからの世代の課題なのかも知れません。















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青島の“鬼の洗濯岩”といわれる奇岩です。どれだけの月日を重ねてこのような風景を生んだのだろうか?と想像しながら、自然界の働きに手を合わせるのでした。潮風が心地よく吹いていました。















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フィルターをかけて撮影しました。心象風景では、こんなイメージです。海潮音と広がる地平線と海風を楽しみ、いよいよ宮崎とお別れです。一時間余りの散策でした。















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宮崎空港へ着いてから、雨雲が広がり雨が降り出しました。僕は次男と屋上デッキから飛び立つ飛行機に向って、大きく両腕を振りました。それにしても不思議です。9年生たちが来てからずっと晴天でしたから……。















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9月29日、田淵民男さんは、永眠されました。お通夜と告別式に参列しました。葬儀式場には、東京賢治シュタイナー学校からの献花がありました。ほんとうに突然のことでした……。















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葬儀式場の二か所で田淵さんの映像が流れていました。アイドル歌手の嵐のメンバーが訪ねて来て、田淵さんを取材した番組を録画したものでした。田淵さんの畑でジャガイモを掘りながら、会話をしていました。この時話していた田淵さんの畑の哲学は、「満月の時は、葉物類を収穫して、新月の時は、根菜類を収穫するのがよい」(水分が作物に入り瑞々しくなるから)という話と、「百姓は百の品をつくるという意味だ」(毎日、毎年、天候は変わるから、日照りや長雨の時でも、百品の作物を作っていれば、どれかが収穫出来るから)という話でした。流石、長年の知恵です。まだまだ教わりたいことはたくさんありましたが、とても安らかなお顔をされていましたので、この世のお勤めが終ったのだと思うようにしました。東京賢治シュタイナー学校でも、偲ぶ会をされたと聞きました。田淵さんは、多くの若者からも愛されて幸せだったと思います。















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葬儀式場の入り口に、遺族の方が置かれた写真と本がありました。そこへ、鳥山先生と桐澤先生から頂いたメッセージを置かせて頂きました。郷田夫妻、鳥山先生、田淵さんの4人が映る写真が、9年生たちが帰京した翌日に天に召されたことは、何かを暗喩しているようにも感じました。置かれてあった本のひとつは、田淵さんへの取材で、満州における戦争体験が綴られた内容でした。郷田實氏も田淵民男氏も、辛い戦争体験を持ち、共に何か人間にとってとても大切なことを共有した戦友でもあったのだと察せられます。田淵さんの経済だけを優先させない有機農業へのこだわりとその生き方は、きっと綾でも受け継がれることだと信じています。合掌。















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最後にユニークな写真を追加いたします。9年生帰京の日の朝のことでした。何かに成りきって立っているのは、次男です。僧侶見習いではありません。部活の先輩に頭をこのようにされたそうです。それにしても、9年生男子の素早いコラボには脱帽でした!















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確かナオキさんのカメラの写真だったと思います。これがベスト・ワン賞です。とてもいい思い出です。9年生のみなさん、タイガーアイの分け御霊を大切にしてくださいね。僕も大切に胸にしまっておきます。















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実践場では、土と植物の甘い香りが漂い、秋の草花が咲き始めています。秋の虫たちのすだく声も、美しく響いています。花にあたる光が、今の気持ちを表しているようでした。花と光……。
# by ken-aya | 2013-10-04 17:19 |

9年生 お礼の会 (体験発表・音楽)

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9月26日、実質15日間の農業実習を無事に終えることが出来ました。翌27日の朝、朝食と清掃・片付けを済ませた後、ここの畑に実る自然農のカボチャを収穫しました。夜の“お礼の会”に、9年生たち自らが作るカボチャ料理を提供するためです。収穫後、山猫軒(台所)にて共同調理を始めました。















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調理の合間に、個々に好きな言葉を考えて頂き、毛筆で書いた作品は会場に花を添えてくれました。時間があれば、絵を描いて頂きたかったのですが。

タカヒロさん“友情”、カズノリさん“情熱”、チカさん“出会い”、ナオキさん“飛翔”、ユミコさん“未来”、デリックさん“平和”、モモカさん“信頼”、ハヤタカさん“笑顔”、ユウホさん“努力”、アキホさん“仲間”、メイさん“感謝”















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実践場の2階奥には、郷田實氏の手帳と石と写真が設立当初から大事に置かれてあります。壁には、鳥山敏子先生が書かれた、宮沢賢治作「農民芸術概論綱要」の序論と結論が貼られてあります。昨年までは倉庫になっていた2階ですが、とても大切な場所なので着任してから綺麗に致しました。















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昼食後、お礼の会のリハーサルが始まりました。9年生たちが綾に来られてから晴天が続き、雨天は一日だけでした。この日も、爽やかな秋晴れでした。陽が傾くまで練習をして、いよいよ本番の時間となりました。















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おもてなしの料理は9年生たちと妻が作りました。天然酵母のピザ、スパイス・ナッツ・フルーツのクッキー、ジェノバソースのペンネ、綾産野菜の煮物。もてなす側の僕たち全員は、予め野菜カレーを作り夕食を早目に済ませました。















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ちらし寿司、おにぎり、カボチャの煮物。早川農苑さんは、カボチャスープを差し入れて下さいました。陽は落ちて、2階会場の電灯が灯るなか、お客様が見え始めました。















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発表が始まるまで、9年生たちはお客様をもてなしました。お世話になった農家さんの他に実践場とゆかりの深い方など知人も来て下さいました。















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午後七時半、お礼の会は始まりました。始めに、雅代先生は綾の実践場の役割や歴史について触れながら話されました。そして、農業実習の意味について、賢治やシュタイナーや郷田實氏の思想的な繋がりを論理的に話された後、農家さんにお礼を述べられました。心に響くお話でした。















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9年生たちが最初に披露したのは、フリードリッヒ・シラーの「喜びの歌」(ベートーベン第九)でした。9年生のハーモニーは、平和への希望と重なりました。















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続いてカズノリさんのピアノ演奏。「夢」というタイトルの通り、優しく美しいメロディーが奏でられました。















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3曲目は、アキホさん、モモカさん、ユミコさん、チカさん、ユウホさん、メイさんによる合奏でした。曲は、アンジェラ・アキさんの「手紙」。















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ここでお世話になった5軒の農家さんへ、それぞれお礼の言葉と寄せ書きと父兄からのお礼の品を手渡しました。早川農苑さんへ、タカヒロさん、ユミコさん、ユウホさんがお礼を述べました。早川さんからもお話がありました。早川さん、ありがとうございました。















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山口農園さんへ、デリックさん、アキホさんからお礼を述べました。山口さんから照れながらもお話がありました。山口さん、ありがとうございました。















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郷田農園さんへ、ハヤタカさん、モモカさんからお礼を述べました。北城さんは所用で遅れたため、郷田さんがお話をされました。郷田さん、北城さん、ありがとうございました。















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暁農園さんへ、ナオキさん、チカさんからお礼を述べました。暁さんは配達で遅れたため、奥様がお話をされました。暁さん、ありがとうございました。















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田淵農園さんの主である民男さんは、この日入院していたため、午前中に田淵さん宅を訪ねて奥様に、カズノリさん、メイさんがお礼を述べました。田淵民男さんは、9月29日、入院先の病院で息を引き取りました。今日9月30日の夕方、お通夜があります。このブログを書いている間に、鳥山敏子先生から、天界におられる田淵さん宛てにファックス(手紙)が届きました。あまりに突然の出来事であるかのように思います。訃報を聞いたのは、昨日29日に息子たちの運動会があり終了した直後、田淵さんと親交を持たれた高緑さん(自然農農家)からの電話連絡からでした。その後、郷田美紀子さんからも連絡がありました。雨上がりの夕方、雲間から光が射し、思い出が蘇りました。田淵さん……ありがとうございました……。















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農家さんへのお礼の言葉の後、アキホさん、モモカさん、ユミコさんによる、ピアノとヴァイオリンの演奏がありました。曲はモンティ作曲「チャールダーシュ」。ハンガリーの名曲を、情感を含ませて表現していました。















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いよいよ、9年生一人一人の体験発表です。本当は一人一人すべての内容をお伝えしたいのですが、今回は長い記事になりますので割愛させて頂きますが、皆素晴らしい発表内容でした。雅代先生の指導もあり、形式的な外聞を計らう発表に陥らずに、本音と個々の言葉を用いて、今回の農業実習から学んだこと、体験したことを堂々と話していました。ここ宮原(みやばる)地区の長老(油田さん)も出席して下さり、次のように感想を述べて下さいました。「綾の子どもたちにも聞かせたかった!とてもよい勉強になりました」11人それぞれの体験発表は緊張したかも知れませんが、出席者の胸に充分響いたことでしょう。















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体験発表に続いて、郷田ちささん(郷田實氏の奥様)からお話をして頂きました。気品のあるお方です。笑顔で9年生たちに言葉を贈られました。















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今回のお礼の会は、開かれた会になるよう、数名の方々に出席の声を掛けさせて頂きました。所用で来られない方もおりましたが、佐藤さん御夫妻、永山さん、中村さん、他数名の方が出席して下さいました。佐藤さん、中村さんにも、お話をして頂きました。ありがとうございました。















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お礼の会は、終盤に入りました。タカヒロさんが、グリーンの「花歌」を熱唱しました。今の若者たちの素顔の歌といえます。タカヒロさんの弾けた声に、会場は盛り上がりました。















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音楽発表の最後は、川で逞しさを見せた男子5人によるスマップの歌でした。「世界にひとつだけの花」は、雅代先生とユーチューブの動画を見ながら、少ない時間の中で振り付けも憶えて練習した歌でした。締め括りにふさわしい選曲になりました。すべての演奏や歌を動画で残せなかったのが残念でしたが、それだけに心に深く焼き付いています。















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雅代先生の発案により“修了書”を作成しました。最後にお世話になった農家さんと一緒に一人一人に授与しました。















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お礼の会は盛会となりました。名残惜しく会の後も談笑したり、お腹を充たしたりしていました。そして、それぞれの農家さんと最後のお別れをするため、玄関に降りました。天には星が瞬いています。それぞれが、車が走り去るまで互いに手を振り合っていました。「また綾に来てね!待ってるからね!」そういう言葉が夜の静寂のなかに響きました。時計の針は十時を指していましたが、みんなで片付けと洗い物を済ませ、シャワーを浴び、それから床につきました。とても楽しい夜でした。















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28日の朝を迎えました。この日の前日まで、9年生たちは毎朝5時半前に起床して来ました。最後の朝は、昨夜の就寝が遅くなったため、7時半の起床でしたが……雅代先生が手にしたやかんの水が……誰かの顔に……さて、山猫軒の大きなテーブルで、最後の朝食をゆっくり頂きました。その後、各部屋の清掃を行い、玄関前でお別れの挨拶をしました。僕としては珍しく声が詰まり、言葉があまり出せませんでした。

長くなりました。ここまでお読み下さり、ありがとうございました。9年生たちとの思い出は、後日番外編として記事にしたいと思います。9年生たちを迎え入れてくれた農家さんたち、雅代先生、見守ってくださった皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。とても有意義な20日間でした。ありがとうございました。

宮沢賢治作「農民芸術概論綱要」は、折に触れ読んで頂きたく思います。農業と芸術、この二つを大事にする生き方は、まさにこれからの時代にふさわしい道標にもなると考えられます。放射能汚染は厳しい現実をもたらすでしょうから、なおのこと農業の在り方が問われて来ます。東京賢治シュタイナー学校の教育理念と、ここ綾自然農生活実践場の役割を考えた上で、これからも精進して参りたいと思いますので、今後共よろしくお願い申し上げます。最後に、修了書の文を掲載して感謝の意を表したいと思います。

(修了書 9年生殿)
“貴方は生態系維持農業の町・綾において、20日間の農業実習と共同生活を立派に遣り遂げ、無事修了したことを証明します。また、いのちの根っこを見つめながら流した汗を心より讃えます”
(平成25年9月28日 賢治の学校 綾自然農生活実践場)
# by ken-aya | 2013-09-30 15:36 |

9年生 最後の日曜日

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月日の流れが速く感じられます。毎朝5時半に起床しますが、消灯後も部屋で話が続き、遅く寝るため起きられない人もいます。起床時間が来ると、雅代先生はやかんに水を入れて各部屋を廻ります。顔に水をかけられることもしばしばあります。そのためか、特に男子生徒はその時だけ俊敏になり、かけられる直前に眼を覚ますこともあるそうです。朝食、昼食弁当の準備から始まり、時に農作業でくたくたになり、夕食を食べ元気になり、夜の会では音楽の練習などをします。敏子先生が帰京する前夜は、タカヒロさんが熱唱しました。















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台風18号の影響のため、敏子先生は24日に帰られました。宮崎空港にて記念写真を撮りました。枇榔の木と青い海に別れを告げて、飛行機は飛び去りました。















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中秋の名月の9月19日、夜の八時頃から皆でお月見散歩に出掛けました。大きな雲が流れていたものの、影法師が出来るほど月光は輝いていました。虫たちのすだく声を聞きながら、近所を一時間ほど歩きました。















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煌々と輝く月光を浴びながら歩くのもなかなか楽しく、賑やかな9年生たちと竹取物語や宇宙人や星について話したりしました。お月見団子は作れませんでしたが、電灯のない月明かりだけの夜道を歩き、ススキが風に揺れるのを見るだけでもいいものだなぁと改めて思いました。















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月曜日から土曜日まで、早朝から夜までびっしり詰まる予定をこなし、9月22日の最後の日曜日を皆で楽しみました。普段よりやや遅く起きて朝食を頂き、その後、昼食の弁当を作り、十時頃、綾城へ向かいました。綾城は、前町長の郷田實氏が復元させた山城です。復元にあたって郷田氏は本物にこだわり、当時の建築基準法との闘いや、名刀・国広の入手にまつわる苦労話もあり、そのことについては著書「結いの心」のなかで触れていますので、9年生たちも学ぶことと思います。















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綾城の中に入りますと、太い柱や梁が目には入り驚かせます。樹齢280年の栂(つが)などが使われ、釘を一本も使わない工法でどっしりとしていました。様々な展示品を眺めながら、9年生たちは綾の歴史を学んでいました。















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天守閣からの眺めは、鳥になったような気分です。天気も良く、心地よい風が吹き渡っていました。















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綾の刀匠の方が刀を研いでいました。この方は実践場の近くに住んでいます。















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綾町内には、木工作家や陶芸作家やガラス工芸作家など、多くの職人さんが住んでいます。雅代先生は、木茶碗を手にして、何か思案していたようです。ご主人への贈り物でしょうか。















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9年生たちの楽しみのひとつは川遊びだったようです。綾城を後にして、先週泳いだ川へ行き、弁当を食べ、飛び込んだり泳いだりしました。気温は30℃位でしたが、水温は先週より少し低く、それでも何度も飛び込みにチャレンジしていました。















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チャレンジ精神旺盛なナオキさんは、意を決してロープの下がる木の上に登りました。僕は低い所から飛び込んで岸へ戻り、カメラを構えました。















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横から見ると高さを実感出来ませんが、上から見ると高さに怖さを感じてしまいます。ナオキさんは、しばらく考えてから木にぶら下がりました。そして集中して……。















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雅代先生と皆が見守るなか……ザブーン……見事なサプライズでした。川遊びを楽しんだ後、ほんものセンターでアイスクリームを食べ、その後恒例のラーメン屋さんへ行き腹ごしらえをしてから、夜、地元綾町での花火大会に出掛けました。















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綾南川の土手沿いに席を取り、花火を鑑賞しました。夜空に迫力のある花が咲き、9年生たちは写真を撮ったりしながら楽しんでいたようです。最後に音楽とのコラボもあり、面白かったと思います。















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9月下旬に近付いていますが、綾での最後の日曜日に、夏の風物詩である川遊びと花火大会を楽しみ、夏との別れを惜しみながら家路に着きました。明日からの週が最後になります。27日の夜には、体験発表会(お礼の会)があります。お世話になっている農家さんやご近所の方などが来て下さいます。とても楽しみにしています。
# by ken-aya | 2013-09-24 16:28 |

9年生 綾の日曜日

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9月15日、5日間の農業実習を終え、初めての日曜日を迎えました。鳥山敏子先生も来訪して下さり、みんなで照葉(てるは)大吊橋へ向かいました。綾町の前町長・郷田實氏が遺した世界一の吊橋です。日本一の面積を誇る照葉樹林を眺め、少しだけ?スリルを味わいながら吊橋を渡りました。















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森の中を歩き、イスノキやバリバリノキなど樹種を知りながら、自然林のオゾンをたくさん吸いました。吸うと言いますと、森の中にはヒルがいます。誰も吸われませんでしたが、僕は足を血だらけにしたことがあります。今年は雨が降らなかったため、滝が涸れていました。綾の森の生態系調査では、848種の植物種が確認されています。そのうち40種は希少種です。絶滅危惧種とされているクマタカなどの希少鳥類も見られます。















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遊歩道を一時間ほど歩いた後、照葉大吊橋のスケッチを始めました。それぞれ独特の視点を持ちながら、鉛筆を走らせていました。それぞれの感性はオリジナルなものですから、どれも素晴らしい出来でした。















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遊歩道は急なところもあり、70代の敏子先生の手を時々取られる雅代先生でした。照葉樹林の森を見つめる眼……生態系の意味……スケッチを終えてから、照葉樹林文化館を見学しました。















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昼食は、薬膳茶房・オーガニックごうださんで頂きました。ランチ1,500円ですが、材料を吟味された綾の人気店です。五味調和に基いて、美味しい料理を提供されています。9年生たちは、どんな料理が出てくるのだろう?とワクワクしていたようです。















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郷田美紀子さんは、郷田薬局、オーガニックごうだ、薬膳宿舎・ビオスヴィレッジのオーナーです。実践場では、設立当初からご支援を頂き、食養講座などを続けて下さいました。ここ数年実施されませんでしたが、今年からまた復活いたします。9年生たちは、命の食についてお話を聞くことが出来ました。















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昼食後、綾北川へ行き、川遊びを楽しみました。大きな岩場から頭から飛び込んだり、ロープを使って飛び込んだり、逞しく感じました。9月中旬とはいえ、気温は30℃を超えていますから、水温も左程冷たくはなく楽しめたようです。こちらでは、川遊びにほうけることを、カワガキとも言います。















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一体、何をしているのでしょう……?一見、魚を探しているように見えますが、実はゴールド・ラッシュに似た宝探しです。この日、とてもお世話になっている方から頂いた“タイガー・アイ”のブレスレッドを僕は付けていました。9年生たちが泳ぎ疲れて上がった頃、河原の平たい石を敏子先生から渡されました。水面を何連するか、気合を入れて投げたところ、石と一緒にブレスレッドも飛んで行きました。あぁぁ……ブレスレッドが……。そして、タイガーアイ探しが始まってしまった次第です。















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タイガーアイはバラバラになったようで、1個、2個と見つけて行きました。タカヒロさんは、6個見つけ、みんなで11個になりました。そう、9年生たちの人数と同じでした。記念にプレゼントいたしました。何だか不思議で面白い出来事になりました。ナオキさん曰く、来週も川で遊べますよね!と笑顔で言いました。雅代先生は、9年生たちの笑顔や遊びを嬉しそうに見ていました。いい先生と生徒ではないか!緑と清らかな川に別れを告げ、綾の日曜日は無事終わりました。















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敏子先生が綾へ来られた土曜日の夕食の準備風景です。包丁の使い方も、準備や片付けも、日に日に上達しているようです。料理によって野菜の切り方も変わりますから、色々憶えています。















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敏子先生は食後に少し話されました。……みんなが囲んでいる一枚板の大きなテーブルは、郷田實さんが実践場に寄贈したものです……このテーブルは自然のままの曲線……人間関係もこのテーブルのようにありたい……確かにこのテーブルは、ここの象徴的なものと言えるのかも知れません。















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鳥山敏子先生が綾に来られた理由のひとつは、田淵民男さんのお見舞いをすることでした。郷田實ご夫妻と敏子先生と田淵さんの4人が映る写真が、山猫軒(実践場の台所)に飾ってあります。設立当初からの長いお付き合いもあり、田淵さんが入院している病院の病室に入ると、敏子先生は言葉をかけながら、手を握ったり抱きしめたり足をさすってあげたりしていました。綾の自然生態系維持農法を支え実践されて来た頑強な体を持つ田淵さんですが、81歳の今、今年の暑さに体調を崩されたようです。充分回復されてから、賢治の学校生たちに再び指導して下さることを敏子先生は伝えていました。無事に退院されることを祈るばかりです。

長くなりましたが、9年生たちの日々のドラマは、書き切れないほどです。台風18号を案じていましたが、こちらでは雨がほしいところです。明日19日は、中秋の名月。みんなで夜空を仰ぎたいと思います。
# by ken-aya | 2013-09-18 22:18 |

東京賢治シュタイナー学校 9年生 農業実習

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もうすぐ中秋の名月ですが / まだまだ暑い日が続いています / 8月は雨も降らず日照りに近い気候でした / それでも自然農のキュウリはたくさん実り / 今はカボチャが数十個実り始めています / 暑さにも強くたくましい存在です / スーパーで売られているカボチャとは / 比べ物にならないほど美味しく / 健康な土に感謝しています

9月9日の午後2時 / 東京賢治シュタイナー学校の9年生11名は / 引率の鳥山雅代先生と / 宮崎空港へ降り立ちました / この日から丸3週間 / 綾で日々生活を共にしながら / 綾町内の5軒の農家さんへ毎日通い / 農業実習に汗を流しています















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ユウホさんと ユミコさんと タカヒロさんは / 早川農苑での実習です / 主に有機農法です / この日の作業は / 秋茄子を採るための剪定作業でした / 昼食は早川農園さんのランチを頂きます / 農園は広くヤギもいます / 場所は錦原(にしきばる)という広々とした大地です















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メイさんと カズノリさんは / 田淵農園での実習です / 腐葉土を主にした有機農法です / 田淵民男さんは体調を崩され / 残念なことに入院してしまいました / 綾の自然生態系維持農法の先駆者ですが / 80代ということもあり充分静養して頂きたく思います / 実習は娘さんや奥様がして下さっています / この日の実習は豆の支柱立てでした / 竹を伐りナタで枝を落とすことから / すべて体験したようです / 場所は尾立という山間にあります















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アキホさんと デリックさんは / 山口農園での実習です / 椎茸の菌床などを使用した自然栽培農法です / この日の作業は人参畑の草取りでした / 3日目の作業の合間には / 近所のおじいさんからシシ肉をご馳走になったそうです / 羨ましい! / 大地を這うように草をむしることは / 地道な作業です / 場所は尾立という山間部です















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チカさんと ナオキさんは / 暁農園での実習です / 炭素循環農法と自然栽培農法です / 農作業というより土木作業に汗を流しています / 畑は二年ほどの休耕地でした / それ以前から使われていた / 農薬や化学肥料や有機肥料などが / 表土から20cm下くらいで固くなり層となります / 作物の根はそこを破れないため / 1mほどの溝を掘り空気を深いところまで取り込ませます / そのことによって好気性の微生物も増え / 無肥料でも収穫が増えるそうです / 場所は山口農園さんに近い尾立にあります















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モモカさんと ハヤタカさんは / 郷田農園での実習です / レクチャーは北城さんが引き受けてくれました / 耕さず草や虫を敵にせず肥料も施さない自然農法です / 初日にミーティングをして育ててみたい野菜を決めました / 休耕地をノコギリ鎌で草を刈る作業から始め / 畝を立て種を撒いていきます / 場所は錦原にあります















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9年生たちの日課は / 5時半に起床します / 直ぐに朝食の準備と昼食の弁当の準備を / 2班に分かれて行います / 朝は近所の馬たちのいななきや / 虫の音や野鳥たちのさえずりが聞こえて来ます / ここ賢治の学校・綾自然農生活実践場は / 古墳もある入野の筒香という地区にあります















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朝食と弁当の準備を終えた後 / 2階へ移動します / 初めにピアノのメロディーと共にオイリュトミーをします / オイリュトミストとでもある鳥山雅代先生の動きは美しく / 見ているだけで参加したくなります / けれども9年生たちはまだ生活に慣れていないこともあってか / 少し眠たそうな動きになることもあります / 気のエネルギーを感覚として捉えることは / ヨガや気功にも通じるような印象を持ちました / 体が宇宙エネルギーや愛に目覚める感じです















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オイリュトミーで体が目覚めた後 / ドイツ語による言語造形と / ドイツ語によるシラーの第九を朗唱していました / そして綾の前町長・郷田實氏と郷田美紀子さん共著による / 「結いのこころ」を一人づつ音読して行きます / さてお腹が空いてようやく朝食です / ほんものセンターに卸している / 天然酵母のパンと果物を食べ / 片付けの後掃除をして / 8時に各農家さんへ移動します















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夕方 4時半から5時に作業を終え / 学び舎に戻りシャワーを浴びてから / 夕食の準備に入ります / 味噌汁の出汁などにいりこは使いますが / おかずは全て綾の野菜が中心です / 妻が味付けを担当しています / 3週間お肉と魚は食べず / ご飯は無農薬玄米と無農薬緑米・赤米・黒米入りの白米です / 食欲は皆旺盛で安心しています / 夕食後に作業内容など話し合います / 片付けの後8時頃から2階へ移動して / 夜の会・振り返り・私の人生記・楽器演奏などをします / ピアノやヴァイオリンの音色が一日を無事終えたことを暗示させてくれます / 9時半に就寝・消灯 / 床の中で秋の虫の音を聞いているでしょうか……















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自然農の稲 / 郷田實氏は / ほんものとは / 自然をよごさない / 人をだまさない / ことである…と言われた / 自然農はその理念に沿っているのでしょう / 宮沢賢治氏の農民芸術概論綱要も / ルドルフ・シュタイナーの思想も / それぞれ共通している生命観があると思います / 9年生たちはこの3週間で / きっと命の根っこをどこかで感じるのでは? / と綾の自然に感謝しながら / 共に学び合っていこうと思います / また来週も投稿出来るようにと思います / お楽しみに!
# by ken-aya | 2013-09-13 15:41 |